テクノロジーライフサイクル
ハイテク製品には、普通の商品とは違う独自のマーケティングが必要とされる。なぜなら、普通の製品のライフサイクルである一般的なベルカーブと違って、ハイテク製品は以下の図のような独自のライフサイクルを描くからだ。ハイテク製品を市場で浸透させるためには、この独自のライフサイクルに基づいたマーケティングを実施する必要がある。
上記の図は、テクノロジーに基づく製品が市場に受け入れられて行くに従って、顧客層がどのよに変化するかを説明している。
イノベーター
ライフサイクルの初期の顧客であるイノベーターは、別名テクノロジーマニアである。彼らの関心事は、新しいテクノロジーそのものであり、製品がどのように役立つかは二の次である。イノベーターの数は、どの市場セグメントにおいても、それほど多くはない。しかし、マーケティング活動の初期にイノベーターの注目を集めることは、成功に欠かせないステップである。彼らが製品を購入すれば、効用のほどはともかく、製品として機能していることを他の顧客グループにアピールできるからだ。
アーリーアダプター
イノベーターとともに初期の顧客であるアーリーアダプターの別名は、ビジョナリーである。彼らはテクノロジーマニアからの情報をもとに、こちらの存在を知ることが多い。イノベーターと違って、彼らの関心事はテクノロジーそのものではない。テクノロジーを、彼らが現在抱えているビジネスの問題に適応して、単なる改善ではないブレイクスルーをもたらすことができないだろうかと、常に「夢」を抱いている。もしそれが可能だと判断したら、他社の導入事例を参考にせず、自らの直感と先見性を頼りに、大きなリスクを背負って、彼らは新しいテクノロジーにいち早く先行投資する。それが競合他社を大きく出し抜くためには、必要だと考えているからだ。
彼らの多くはプロジェクト志向である。こちら(ベンダー)としては、各プロジェクトの進展に伴ってアウトプットを商品化することが重要である。また、ビジョナリーが抱く「夢」から派生する期待のすべてに答えることは不可能であることが多い。「ビジョナリーの期待を管理する」ことに神経を注がなければならない。
アーリーマジョリティー
アーリーマジョリティの別名は実利主義者である。この顧客グループの数は非常に多い。彼らは、最新のテクノロジーを先んじて導入しようとは思わない。彼らは新製品を購入する前に、まず同業他社の導入状況をうかがう。そして、マーケットリーダーから製品を購入しようとする。マーケットリーダーの商品であれば、製品の機能が最高でなくとも、十分実用に耐えるものであればよい。彼らが目指すのは、ビジョナリーが目指すブレイクスルーではなく、着実な成果を測定できる進歩である。実利主義者に製品を売り込むことは容易ではないが、ひとたび売り込みに成功すればつよい味方となる。
レイトマジョリティー
彼らの別名は保守派である。彼はは実利主義者と多くの特徴を共通するが、ハイテク製品に及び腰であり、出来れば「不連続なイノベーション」を受け入れたくないと思っている人達である。
ラガード
このグループは新しいハイテク製品には見向きもしない人達である。彼らが唯一ハイテク製品を買うのは、他の商品に組み込まれて目に見えない時である。
キャズム
ハイテク市場は、「イノベーター」と「アーリーアダプター」の顧客グループで初期市場を形作り、「アーリーマジョリティー」と「レイトマジョリティー」の顧客グループでメインストリーム市場を形作っている。
一般的な考えで、今の顧客グループから次の顧客グループへと同じように攻略していこうとすると、大きな落とし穴にハマることになる。なぜならば、ビジョナリーと実利主義者の間の考え方は大きく異なり、製品の普及を妨げる裂け目であるキャズムが存在しているからである。
多くのハイテク企業は、たとえ初期市場で成功したとしても、このキャズムにハマり、メインストリーム市場に到達できないまま、終焉を迎えてしまう。
(※後半に続く。)



[...] (※前篇からの続きです。) [...]